Japan Renewable Alert 41: メガソーラー:法アセスの概要

Energy & Infrastructure Alert
June.12.2019

English: Mega Solar: Outline of Act Assessment

2019年2月5日付けRenewable Alert Letter 39でお伝えしたとおり、一定規模以上の太陽光発電所の設置及び変更工事が環境影響評価法に基づく環境影響評価(「法アセス」)の対象事業とされることになりました。その後公表された環境影響評価法施行令の一部を改正する政令案の概要、経産省の有識者会議での議論並びに本件に関する事項を含むFIT法施行規則及び経済産業大臣告示の改正案(以下、これらを併せて「改正案等」)から見えてまいりました改正内容の詳細をご紹介します。

1 改正内容の概要

改正案等では、 2019年2月5日付け Renewable Alert Letter 39でご紹介したとおり、4万kW以上のものを第一種事業(法アセスが必須の事業)とし、3万kW以上4万kW未満のものを第二種事業(スクリーニング対象の事業)としております。

また、環境影響評価法では、法アセスに関し、準備書に対する知事等意見の後に事業の目的・内容を変更する場合は原則としてアセスを一定範囲でやり直さなければならないとされる一方、政令で定める「軽微な修正」(評価書公告前)及び「軽微な変更」(評価書公告後)などの場合には、こうしたやり直しは不要とされています。改正案等では、発電所の出力が10%以上増加しないこと、対象事業実施区域の位置について修正前の対象事業実施区域から300メートル以上離れた区域が新たに対象事業実施区域とならないことを「軽微な修正」「軽微な変更」の要件としております。

2 施行時期及び経過措置

環境影響評価法施行令の一部を改正する政令は、2019年7月上旬の公布を経て2020年4月1日に施行予定とされています。2019年6月10日に開催された経産省の有識者会議(第15回 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)では、施行日時点で電気事業法に基づく工事計画届出がされていない案件について、法アセスの対象とされることが示されました。

また、同会議では、今回の改正により法アセスが実施されることとなる太陽光発電事業については運転開始期限を認定日から5年とする方向性が示され、FIT法施行規則及び経済産業大臣告示の改正案では、案件の認定時期に応じて、当該5年の運転開始期限をどう実現するかの案が示されました。

3 今後の展望

メガソーラーを法アセスの対象とする改正は、いよいよ来年4月1日から施行される見込みとなりました。しかし、改正に当たっての関連法令等の改正内容は議論の途上です。今回の改正に遺漏なく対処するためには、皆様の案件が法アセスの対象となるのか、対象となった場合、どのような制約が課されるのかなどを正確に見極めると共に、改正政令の施行に備えて事実上のアセス手続をどのように実施すべきかなどを十分検討する必要があります。そのためにも、引続き、経産省及び環境省等での議論、関連する法令改正や運用等の動向を注視していくことが必要です。

なお、本件に関する事項を含むFIT法施行規則及び経済産業大臣告示の改正案については、現在パブリックコメントに付されております。意見の締切は2019年7月10日です。