Japan Renewable Alert 50

November.19.2020

パブコメ結果公表-
認定失効制度の詳細設計と運転開始期限の対象拡大

English: Findings from the Public Comments on Arrangements for the Nullification Rule and Expansion of the Scope of the COD Deadline Rule Now Released

Japan Renewable Alert 49でお伝えしたとおり、2022年4月1日(以下「施行日」といいます。)からの導入が決まっている認定失効制度の詳細設計を含む省令等の改正の概要の案(以下「概要案」といいます。)が、2020年9月7日から同年10月6日まで意見公募(パブリックコメント)手続に付され、このほど、2020年11月6日、その結果(以下「パブコメ結果」といいます。)が公表されました(こちらを参照)。経済産業省では、現在、関連する省令及び告示を準備中であり、年内を目処に公布予定とのことです。

1. 認定失効制度について

認定失効制度は、FIT/FIP認定を受けてから一定期間(以下「失効期間」といいます。)以内に運転開始に至らない場合には、当該認定を失効させる制度であって、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号。いわゆるFIT法。以下「再エネ特措法」といいます。)に対する「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第49号)による改正(2022年4月1日施行)によって導入されるものです(Japan Renewable Alert 44をご参照ください。)。具体的な失効期間は、再エネ特措法施行規則(平成24年経済産業省令第46号。以下「再エネ規則」といいます。)を改正する省令によって定められることが予定されています。

Japan Renewable Alert 49でお伝えしたとおり、概要案は、運転開始期限から1年の時点における案件の進捗状況に応じて認定失効期間の長さを振り分けることを基本的な考え方としており、太陽光を例に取ると以下のとおりです。

  1. 運転開始期限日(FIT/FIP認定から3年後(環境影響評価法による環境影響評価(以下「法アセス」といいます。)の対象であれば5年後)の日)から1年後の期日までに、系統連系工事着工申込みが一般送配電事業者等によって受領されない場合、失効期間は4年(法アセスの対象であれば6年)とする。
  2. 運転開始期限日から1年後の期日までに、系統連系工事着工申込みが一般送配電事業者等によって受領された場合、失効期間は6年(法アセスの対象であれば8年)とする。
  3. 大規模案件については、運転開始期限日から1年後の期日までに、(i) 系統連系工事着工申込みが一般送配電事業者等によって受領され、かつ、(ii) 経済産業大臣が、(A) 工事計画届出(電気事業法第48条第1項。2MW以上の案件で要求される。)が不備なく受領されたこと、(B) 法アセス(30MW以上の案件で要求され得る。)における準備書(電気事業法第46条の14)に対する経済産業大臣の勧告(又は勧告をする必要のないこと若しくは勧告までの期間延長の通知)のいずれかがされたことを確認した場合には、23年(法アセスの対象であれば25年)とする。

上記は、運転開始期限日が施行日以後に到来する場合ですが、運転開始期限日が施行日より前に到来する場合には、同じく太陽光を例に取ると、それぞれ、施行日から(1) 1年、(2) 3年、(3) 20年とされます。

概要案及びパブコメ結果によると、系統連系工事着工申込みの受領がされたことについては、国が事業者に対して何らかの書類を発行するわけではありませんが、上記(3)(ii)の経済産業大臣による確認については、確認がされれば事業者に対して通知するとしています(パブコメ結果No.11、60)。

また、2018年12月5日に経済産業省が公表した未稼働太陽光案件に対するルール(以下「未稼働ルール」といいます。)における系統連系工事着工申込みは、いったんこれを行っても、その後に変更認定申請をすると再度の申込みが要求され、当該再度の申込みの時点を基準として適用調達価格が定められることとなりますが、認定失効制度における系統連系工事着工申込みは、その後に変更認定申請をしても既にした申込みの効力が否定されるわけではないとされています(パブコメ結果No. 17、33)。もっとも、認定失効制度における系統連系工事着工申込みも、未稼働ルールにおけるのと同様、設備設置場所について権原を確保していることなどの要件を満たす必要があり、こうした要件が充足されていなかったことが判明すれば失効の猶予は認められないとされており(パブコメ結果No.33)、また、地番追加の変更認定申請が必要となる場合には上記(3)(ii)における経済産業大臣の確認を取り消す可能性が示唆されています(パブコメ結果No. 48、61、63)。これらの点については、十分に注意する必要があります。

さらに、運転開始期限から1年以内に系統連系工事着工申込みが受領された案件について、系統側の都合により連系開始予定日に遅延が生じる場合には、当該遅延した期間を失効期間に加算する措置を取るとされています(パブコメ結果No.51、75)。具体的にどのような場合がこのような遅延に該当し、遅延の期間はどのように判断するのか留意する必要があります。

なお、1つのFIT/FIP認定を取得した案件について、当該案件を分割して工事計画届出を複数提出するよう産業保安監督部から指導されることがありますが、このような場合に前記(3)(ii)(A)の工事計画届出による失効猶予の措置の適用を受けるには、当該FIT/FIP認定の対象となる設備の全てについて必要な工事計画届出を提出している必要があるとの点にも留意が必要です(パブコメ結果No.61)。

2. 太陽光以外の運転開始期限の設定について

再エネ規則及び電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の規定に基づき調達価格等を定める件(平成29年経済産業省告示第35号。以下「調達価格告示」といいます。)により、2018年度以降、太陽光以外のFIT案件には運転開始期限日が設定されています。たとえば、風力については、原則として認定から4年後の日、法アセスの対象となる案件であれば認定から8年後の日が運転開始期限日とされています。運転開始期限日までに運転が開始されないと、その過ぎた分だけ調達期間が短縮されることとなるほか、前記のとおり、失効制度の導入後は失効期間の基準としても参照されることとなります。

概要案では、2017年度までに認定を受けた非太陽光案件についても、運転開始期限日を設定することが示されました。このような運転開始期限を設定する省令及び告示の公布日から起算して運転開始期限が設定されることとされました。これにより、たとえば、このような省令及び告示が2020年12月1日に公布されれば、法アセスの対象となる風力の場合には、同公布日から起算して8年後の2028年11月30日が運転開始期限日となります。

運転開始期限の期間については、地方公共団体の条例による環境影響評価(以下「条例アセス」といいます。)の対象であることは考慮されませんが(風力であれば8年ではなく4年とされます。)、パブコメ結果では、運転開始期限の設定に当たって条例アセスによる影響を考慮してほしいとの意見があったことを踏まえ、条例アセスの対象案件については、公布から9か月後の日に運転開始期限を導入するとして、一定の猶予期間を与える方針が示されました。

3. 2016年度認定太陽光への未稼働ルールの拡大

未稼働ルールは、2017年4月1日施行改正前の再エネ特措法下で認定を受け、接続契約が2016年7月31日までに締結された未稼働の太陽光案件(以下「未稼働ルール案件」といいます。)を対象とするものであり、2018年12月5日に、2014年度までに認定された未稼働ルール案件を対象として導入することが公表されましたが(同措置を盛り込んだ調達価格告示の改正は2019年3月29日公布・同年4月1日施行の平成31年経済産業省告示第73号による。)、その後、2015年度認定の未稼働ルール案件にも拡大され、更に2016年度認定未稼働ルール案件にも拡大する方針が示されていたところです。

パブコメ結果を踏まえた変更点は特段なく、従前からの方針に従い、概要案のとおり拡大される模様です。

4. 今後の展望

上記の再エネ規則及び調達価格告示に対する改正をする経済産業省令及び告示は、年内を目処に公布される方針が示されており、注視する必要があります。さらに、該当する経済産業省令等が出されてもなお運用に委ねられる点もあると予想されることから、特に運用が固まるまでの間、具体的な条件充足の有無等の検討にあたっては細心の注意が必要です。認定失効制度だけでなく、FIP制度の導入や再エネ大量導入時代にふさわしい系統の運用の在り方の検討など、再エネ関連規制の大きな変革期において、新たな時代に向けた各種改正の内容や背景を把握することは極めて重要といえます。