Japan Renewable Alert 45:
事業譲渡・飛び地案件のFIT審査いっそう厳格に

Energy& Infrastructure Alert | April.22.2020

English: Stricter Examination on the Transfer of FIT Projects and Solar Projects Including Detached Land Plots

新年度の開始する4月1日の前後では多くの法令改正や運用の改訂がされますが、再エネ関連でも、法令改正や運用改訂がありました。経済産業省は、2020年4月1日付けで、ウェブサイトに掲載している再エネ特措法上の申請の運用に関する3つの文書(①変更内容ごとの変更手続の整理表(以下「変更手続整理表」という。)、②調達価格が変更される事業計画の変更整理表、③再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について(以下、「設置場所基準」といい、変更手続整理表と合わせて「METI文書」という。)を改訂しました。

再エネ特措法及び同法施行規則では、新規認定申請に当たって、発電設備の設置場所についての権原に関する書類(規則4条の2第2項3号)など同項列挙の書類の提出が求められるほか、同項に列挙されたもの以外でも、経済産業大臣は認定のために必要と認める書類の提出を求めることができるとされています(同条4項)。これらの規定は、変更認定申請にも準用されています(規則8条2項)。

METI文書では、こうした申請(新規認定申請・変更認定申請)の際の添付書類に関する経産省の考え方が示されていますが、今回の改訂には、再エネ発電事業に大きな影響を与え得る重要な改訂がありました。

1. 事業譲渡に伴う「土地の取得を証する書類等」

FIT案件の事業譲渡を行う場合には事業者名を変更する変更認定申請をする必要がありますが、変更手続整理表の上記改訂により、この変更認定申請に際し「土地の取得を証する書類等」の添付が新たに求められることとなります。従前、このような書類の添付は求められていませんでしたが、弊所が照会した担当官の話によると、事業譲渡に関連して土地の権利の帰属に関する紛争が見られる例が一定数存在することも踏まえた改訂であり、2020年4月1日以降に到達した申請から上記書類の添付が求められることとなるとの回答を得ています。FIT案件のセカンダリ―取引やSPCへの名義移転の際には注意が必要です。

弊所からの複数の経産局に対する照会の結果によると、事業用地を地上権や賃借権で確保している場合には、「土地の取得を証する書類等」として、新事業者が土地の権原を取得したことを確認できる契約書や登記などの提出が必要となるとのことです。もっとも、具体的に必要な書類に関しては、変更手続整理表に画一的な基準が明定されているわけではないため、案件ごとの事情も踏まえつつ判断しなければならず、今後の運用にも注意を払う必要があります。

変更手続整理表の今回の改訂におけるそのほかの変更点は、主として、50kW未満の太陽光案件についての“地域活用要件”の導入に伴う変更です。

2. 自営線用地の使用権

系統からのアクセスや1つの発電所に含まれる飛び地の間を繋ぐ自営線の敷設用地は、発電設備の設置場所そのものではないため、FIT認定等の申請に当たって、必ずしも法令上明示的に土地の権原を示す書類の添付が求められるものではありません。しかし、設置場所基準の今回の改訂では、自営線用地について、「占用許可や土地の権利者の合意が得られていることが必要」であり、「必要であると判断した場合は、土地の合意取得状況について確認を行う可能性がある」との記述が追加され、新規認定や地番の追加に伴う変更認定申請に当たり、自営線用地の権利(道路占用許可など)に関する何らかの書類の提出が求められる可能性があることが示されました。設置場所基準それ自体には明示的には書かれていませんが、弊所が複数の担当官から得た情報では、上記改訂は太陽光発電のいわゆる「飛び地案件」に対する規律を主眼としたものと考えられますので、太陽光の飛び地案件では特に注意が必要です。

太陽光発電において発電設備の設置場所のうちに飛び地が含まれる「飛び地案件」は、従前から、批判的な見解が経産省内にあり、運用が徐々に厳格化されていたところです。今回の改訂以前にも、担当官によっては、飛び地案件における飛び地間を繋ぐ自営線用地の権原の確保状況を示す書類の提出を求める例も見られるようになっていたところであり、上記改訂はこうした運用を全国的な運用として文書で明確化するものと考えられます。

弊所が本省及び複数の経産局に照会したところによると、今回の改訂は、新しい運用を定めたというよりも、従前からの運用を文書で明確化したものと位置づけられており、2020年4月1日よりも前に提出されて現在審査中の申請にも同様の運用をする旨の回答を得ています。上記改訂についても、今後の運用を注視する必要があります。

3. 今後の展望

Renewable Alert Letter 44でお伝えしたとおり、現在、国会では、FIP制度の導入や解体等費用の積立て制度が盛り込まれた再エネ特措法等の改正法案の議論がされています。METI文書の前記改訂は、こうした再エネ関連法制の大きな変動に比べると一般の話題にはなりづらいものですが、実務的な影響は甚大です。世界的なコロナウイルスの蔓延による事業環境の変化の中でも、再エネ関連の制度変更は粛々と進められており、再エネ事業の安定的な遂行のためには、大小様々な制度変更の内容を正確に把握してその影響を適切に評価するとともに、必要に応じてその声を関係先に届けることが不可欠です。