米国連邦最高裁判所はIPRを違憲と判断するのか:日本企業としてどう対応すべきか

Report on Oil States Energy Services LLC v. Greene’s Energy Group LLC’s case

Seminar | December.13.2017 | 9:00am - 10:30am (Tokyo Standard Time)

オリック東京オフィス

English: US Supreme Court May Rule IPRs Unconstitutional: What Should Your Company Be Doing?

オリック・グローバル・ジャパン・プラクティスでは、「Orrick Library」と題し、日本のみならず米国、アジアおよびヨーロッパの各地域における様々な分野の法律問題についてセミナーを開催しております。今回のセミナーは現在米国連邦最高裁判所にて審理中のOil States Energy Services v. Greene's Energy Group 事件の口頭弁論を傍聴する予定の米国弁護士を当オフィスに迎え、口頭弁論で行われた審理の詳細について解説いたします。

過去5年間、米国のNon-Practicing Entity (NPE) に訴えられた日本企業は、米国特許商標庁の 当事者系レビュー(IPR)手続を活用してきました。しかし、米国連邦最高裁判所では、IPR手続の合憲性についてOil States Energy Services LLC v. Greene’s Energy Group LLC 事件において審理が行われることになりました。同事件において、当事務所ワシントンD.C.オフィスに在籍し、弊所控訴審グループに所属のマーク・デイビース米国弁護士を東京オフィスに迎え、IPR手続のエキスパートであるヴァン・ピアース米国弁護士がワシントンD.C.オフィスから、アリサ・カリディス米国弁護士がロサンゼルス・オフィスからビデオで参加し、同事件について解説を行います。

背景

米国発明法America Invents Act (AIA)の成立以来、NPEが依拠する特許権に対する無効の主張または特許請求の範囲を減縮させるために、日本企業は米国特許庁の当事者系レビュー(IPR)手続を効果的に活用してきました。しかしながら、Oil States Energy Services v. Greenes Energy Group 事件において米国連邦最高裁判所は、IPR手続の合憲性についての審理を受理しました。IPR手続が違憲となった場合、現在のIPR手続のみならず過去のIPRによる判断にも影響を及ぼす可能性があります。マーク・デイビース米国弁護士は、2017年11月27日に予定されている米国連邦最高裁判所における口頭弁論を傍聴し、今回12月13日開催の同セミナーにおいて直接皆様に同裁判における審理の状況について報告致します。

一般に、米国連邦最高裁判所はIPRを違憲と判断する可能性は低いとみられていますが、いくつかの懸念事項は存在します。一つ目は、米国連邦最高裁判所に新たな裁判官が加わった後にIPRに関する問題の審理を決定しました。同裁判官は、日頃から行政機関の権限について懐疑的であると見られています。二つ目は、IPR手続の違憲性について、説得力のある実質的な論拠が存在します。例えば、特許権者は特許が私権であるため、陪審裁判を受ける権利なしに行政裁判所による取消しを受けるべきではないという意見です。三つ目は、米国連邦最高裁判所はIPRが違憲と判断することにより生じる実務上の悪影響を危惧しないであろうということです。法廷助言者(事件の当事者ではない第三者)からの意見陳述書は、IPR手続が果たして革新を促進するかどうかについて割れており、そしてこれまでの米国連邦最高裁判所の実績から、実務上の悪影響についての懸念が、法律を違憲との判断を妨げることはありませんでした。ヴァン・ピアース米国弁護士及びアリッサ・カリディス米国弁護士が、米国連邦最高裁判所による審理を待つ間に日本企業は引き続きIPR手続を利用すべきか、そして、同裁判所がIPRを違憲と判断した場合の戦略として考慮すべき事項について解説いたします。

このように、米国連邦最高裁判所はIPRを違憲と判断する実質的な可能性があると言えます。2018年4月から7月の間に米国連邦最高裁判所が判断を下すであろうと思われる同事件の判決の前に、日本企業としては戦略的な対応の検討を開始するべきである。当セミナーは、実際に法廷を傍聴した米国弁護士から、直接口頭弁論における裁判官の質問の詳細と当事者等の答弁内容を聞くことができる良い機会となります。デイビース、ピアース、カリディスより、想定される判決と、その後の対応策についても解説いたします。

講演後に、質疑応答の時間を設けます。

日 時:2017年12月13日(水)9:00 am – 10:30 am (開場および受付開始8:45 am)
会 場:オリック東京法律事務所(アクセス)
講 師:
オリック・ワシントンD.C.・オフィス、パートナー、マーク・デイビース
オリック・ワシントンD.C.・オフィス、パートナー、T.ヴァン・ピアース
オリック・ロサンゼルス・オフィス、パートナー、アリサ・カリディス
言 語:英語
費:無料
申込締切:2017年12月11日(月)

※1 当セミナーのプレゼンテーションは英語で行われますが、東京オフィスのディビッド・ケイス(第二東京弁護士会)、矢倉 信介(第一東京弁護士会)および中本 安利(米国弁護士・弁理士)が適宜協議に参加すると共に、日本語で対応質問等にお答え致します。

※2 このプログラムは米国ニューヨーク州及びカリフォルニア州のCLEクレジットの対象となっています。

セミナーに関するお問い合わせは、毛利亜矢まで

CLE Credits Available: Y

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Practice:

  • 複雑な訴訟および紛争処理
  • Patents
  • Trademark, Copyright & Media
  • 知的財産
  • Cyber, Privacy & Data Innovation
  • Antitrust & Competition
  • International Arbitration & Dispute Resolution
  • Mass Torts & Product Liability
  • Employment Law & Litigation
  • 日本

矢倉 信介 パートナー

東京オフィス

矢倉弁護士の主な取扱分野は知的財産権、独占禁止法、製造物責任、医事・薬事関係、その他各種紛争案件につき、国内外の企業を代理した民商事紛争解決である。とりわけ、複数の国が関わるクロスボーダー型の訴訟・仲裁案件について豊富な経験を有する。

知的財産権の分野においては、電気機器、産業機械等の技術に関する特許権侵害訴訟において国内外の企業を数多く代理するとともに、商標権、著作権、パブリシティー権など、知的財産権に関する案件を幅広く手掛けている。日本の弁理士資格を保有。

近年は、人工知能(AI)、IoT、ビッグデータに関連するビジネス及び法律上の問題点について積極的にアドバイスしおり、オリックのグローバル・AIワーキンググループのアジア代表を務める。

また、米国腐敗行為防止法(FCPA)や英国賄賂防止法(UKBA)を含む贈収賄規制法対応及びカルテル等の独占禁止法/競争法に関する不正調査案件にも積極的に携わるとともに、企業のコンプライアンス事案について、グローバルな視点から戦略的なアドバイスを提供している。

さらに、M&Aやライセンシング等のコーポレート・トランザクション業務にも日常的に携わっており、クライアントに対し戦略的なアドバイスを提供している。

Anri Nakamoto

Practice:

  • 知的財産
  • Patents
  • IP相談およびデューデリジェンス
  • Trade Secrets Litigation

中本 安利 シニア・アソシエイト

東京オフィス

 主に特許訴訟、トレードシークレット訴訟等の知的財産に関する紛争において豊富な知識を有する。


外国法事務弁護士未登録。