7 minute read | October.22.2026
English: Japan Renewables Alert 73
本アラートでは、2025年12月に高市新政権の下で打ち出された「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」の下での制度改正の近時の状況をお伝えいたします。
高市新政権は、2025年12月23日、関係閣僚会議で「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を打ち出し、地域共生の推進などを理由として、太陽光発電所に対する支援の削減と規制の強化を打ち出しました。施策は多岐にわたりますが、その中から、本日は、(1)環境影響評価法に基づく環境影響評価(法アセス)の規模要件の引き下げ、(2)FIT/FIP制度下での地上設置太陽光に対する新規認定の終了を取り上げます。
2027年4月1日から、太陽電池発電所の設置又は変更の工事の事業に対する法アセスの規模要件が引き下げられます。
2026年7月23日には、環境影響評価法施行令について上記改正をする政令(令和8年政令第230号)が公布されました(2027年4月1日施行)。第一種事業の規模要件は従前の40MWから20MWに、スクリーニング手続の対象となる第二種事業の規模要件は従前の30MWから15MWに引き下げられます。
太陽電池発電所の工事に適用される法アセスの規模要件の改正に伴い、自治体レベルでも、環境影響評価条例に基づく環境影響評価(条例アセス)の規模要件の引き下げの動きがみられます。
たとえば、栃木県では、2026年7月16日に開催された有識者会議(こちら)で条例アセスの規模要件を概ね半減させる改正案(環境影響評価条例施行規則の改正案)が提示されており、同年9月7日には県環境審議会での承認がされています。太陽電池発電所の設置の事業に適用される規模要件に関し、現行制度では、普通地域について敷地面積50ha又は森林伐採面積20ha以上、配慮地域で敷地面積15ha以上、特別配慮地域で敷地面積10ha以上とされているところ、普通地域について敷地面積25ha又は森林伐採面積10ha以上、配慮地域で敷地面積7.5ha以上、特別配慮地域で敷地面積5ha以上と引き下げる方針です(こちら)。今後、意見募集手続を経て環境影響評価条例施行規則を改正し、2027年4月1日に施行することを目指しています。
また、三重県では、これまで太陽電池発電所の工事を直接には条例アセスの対象とせず、土地造成を伴う一定規模以上のもの(原則20ha以上、特別地域10ha以上。なお、簡易的環境影響評価については原則10ha以上、特別地域5ha以上)のみを、「宅地その他の用地の造成」として条例アセスの対象とするにとどまっていました。しかし、昨今の情勢を踏まえ、環境影響評価条例施行規則を改正し、太陽光発電所の設置又は変更の工事を直接に条例アセスの対象とするとともに、規模要件を実質的に引き下げることとしています。これにより、ゴルフ場跡地などの新規の土地の造成を伴わない太陽電池発電所の工事や小規模な太陽電池発電所も条例アセスの対象とする方針です(特別地域の有無を問わず10ha以上。簡易的環境影響評価については原則5ha以上、森林区域については1ha以上)。2026年8月3日には県環境審議会の承認を受け(こちら)、同年10月2日に改正規則が公布されています(2027年4月1日施行)(こちら。県公報はこちら)。
太陽光発電事業を条例アセスの対象とする自治体は45程度あり、各地域における条例アセスの動向にも注意する必要があります。
2026年1月7日に開催された調達価格等算定委員会の第110回会合(こちら)では、資源エネルギー庁から2027年度以降の事業用太陽光(地上設置型)のFIT/FIP支援廃止の方針が示されました。調達価格等算定委員会の賛同を得て、2026年2月5日に取りまとめられた同委員会の「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(こちら)(以下「算定委意見」)において、地上設置の事業用太陽光には、2027年度以降は原則として支援を行わない方針が示されました。再エネ特措法施行規則に対する関連改正もされており、2027年4月1日に施行されます(令和8年経済産業省令第29号)。
なお、2027年度以降も、過去にFIT認定を受けた事業用太陽光案件がFIP移行することは可能です(算定委意見99頁)。また、屋根設置の太陽光については、2027年度以降も引き続きFIT/FIP制度の支援対象とされる方針です。
もっとも、屋根設置以外の太陽光についても、地域共生が期待できる一定類型のものについては引き続きFIT/FIP制度による支援対象との方針の下、その詳細を検討するとされていました(算定委意見34頁注6)。2026年9月30日に開催された再生可能エネルギー主力電源化小委員会の第5回会合(こちら)では、屋根設置以外の太陽光のうち、①国・自治体所有の土地に設置されるもの、②地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業計画の認定(又は農山漁村再エネ法上の設備整備計画の認定)を受けたもの、③ソーラーカーポート、④インフラ空間(空港・道路・鉄道・港湾等)に設置されるものについては支援対象とする案が示され、委員から賛同を得ました。もっとも、③ソーラーカーポートについては、従前の土地利用を改変して駐車場とすることを促進するのは適切でないとの認識の下、こうした制度趣旨にそぐわない案件を排除するための制度設計を慎重に議論する方針が確認されており、今後の議論には引き続き留意が必要です。
また、営農型太陽光については、農山漁村再エネ法上の設備整備計画の認定の取得を求める制度改正がされることから、当該改正後の実情を見つつ、FIT/FIP制度による支援対象とするか否かについて2027年度に議論するとされています。
なお、FIT/FIP制度の審査実務の運用は、従前に比して非常に厳格に行われています。弊所のJapan Renewables Alertでも繰り返しお伝えしてきた飛び地規制を含む設備設置場所に対する規律については引き続き厳格な運用がされているほか、説明会要件の審査に至っては、地域からどれだけ理解・支持を得ていようとも、法令上明確とはいえない事項の不充足を理由とする認定拒否や軽微な過誤・不備を理由とする認定拒否が相次いでおり、極めて不合理な取り扱いを強いられている案件も見られます。説明会要件の運用には予測困難で目に余るものがあり、特にFIT/FIP入札に参加する新規申請案件において認定拒否を受けると多額の入札保証金の没収に直結することとなります。FIT/FIP制度の利用に当たっては、こうした「METIリスク」「FIT/FIPリスク」を踏まえつつ、FIT/FIP認定を申請するか否かを検討することも求められます。
再エネをめぐる事業環境は目まぐるしく変動しており、関連する法令・制度の変更も日常茶飯事です。事業者や投資家には、こうした法令・制度の動向を正確にとらえることが求められています。
弊所では、ご希望のクライアントに対し、太陽光、風力及び蓄電池プロジェクトに影響し得る重要な改正事項を弁護士が隔週でお届けするRegulatory Update Reportを有料で配信しております(日英併記対応可)。ご購読のお問合せは、弊所チームまでお気軽にご連絡ください。