8 minute read | May.19.2026
English: Japan Renewables Alert 72
本アラートでは、JC-STAR★1認証の要件化について、近時の資源エネルギー庁の説明内容も踏まえて紹介いたします。また、近時弊所にて多くのお問合せを頂いている他の事項についてもお届けいたします。
再エネ電源及び系統用蓄電池などの分散型電源(DER)のサイバーセキュリティ対策の重要性が高まる中、2027年4月(低圧については同年10月)から、系統連系技術要件(一般送配電事業者の定める託送供給等約款の別冊)において要求されるサイバーセキュリティ対策として、蓄電池や太陽光のPCSや遠隔監視装置といった通信機能を有する機器、風力の発電設備通信機能付き制御システムについて、JC-STAR★1の取得が求められることとなっています。
JC-STAR(Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirements)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営するIoT製品のセキュリティレベルのラベリング制度であり、★1はインターネットに接続可能な製品に対する「統一的な最低限の適合基準」とされています。さらに、資源エネルギー庁は、将来的には、分散型電源の特性を踏まえた分散型電源独自の基準としてJC-STARの「★2」の基準を整備し導入することを検討しています。
これに関し、2026年4月24日、一般社団法人日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC)が、衆議院議員会館にてセミナーを開催しました。セミナーには資源エネルギー庁の担当官も出席し、改訂後の要件の適用関係の詳細などについて説明がありました。
弊所では、資源エネルギー庁に対し、独自の照会や上記セミナーの事前質問を通じ、改訂後要件の適用時期の詳細などの明確化を求めてきました。グリッドコード検討会第21回会合(2026年3月開催)の資料やJSECの上記説明会では、系統連系のための契約申込み(保証金納付及び必要な書類の提出により正式受理がされたもの)が適用開始(高圧以上では2027年4月)以降にされたものが対象となることが資源エネルギー庁から明示的に説明されています。
他方、上記セミナーでは、既存の設備についても、機器の切替えの際には改訂後要件への適合を求めると説明されています。この点に関し、質疑応答の中で、資源エネルギー庁からは、リパワリングに限らず、故障による機器交換の場合にもJC-STAR認証の要件は適用されるとの説明があり、さらに、詳細は一般送配電事業者と相談されたいとしつつも、複数のPCSのうちの1台を交換する場合であっても、発電所の全対象機器をJC-STAR認証を受けたものとする必要がある可能性も示唆されました。
JC-STAR★1認証の要件化は、近年のグリッドコード改定の中でも特に重要性が高く、新規案件、既存案件のいずれにも大きく影響し得るものです。弊所では、この件に関し、これまでにも多数のお問合せを頂戴し、積極的に取り組んでおりますので、ご懸念やご質問がありましたらぜひご連絡ください。
2026年4月22日、環境省と経産省は「太陽光発電事業等の環境影響評価に関する検討会」の第4回会合を開催し、報告書の案を公表しました(こちら)。
報告書案では、太陽光発電事業について、事業実施場所の多様性、広範囲の土地の改変、反射光・景観の影響及び建設の容易性等の特徴を踏まえ、第一種事業の規模要件の基本要件である100ha相当よりも小さな規模の事業を法の対象とすることには一定の合理性があるとされています(5頁)。もっとも、引き下げ後の具体的な第一種事業の規模要件は報告書案の段階では明示されていません。
風力発電事業については、規模要件の見直しが行われてから日が浅いことや、今後建設される風力発電所は出力50,000kW以上のものが主体となることが見込まれることから、第一種事業の規模要件の見直しは不要とされた一方で、第二種事業の規模の見直しの方向性については今後検討会での議論を踏まえて記載されることになります(12頁)。
また、太陽光・風力の両発電事業に共通して、スクリーニング基準の見直しが検討されています。具体的には、森林に係る関係法令による規制区域が存在する場合のスクリーニング基準への追加、及び傾斜地等における土地の改変に関する新たなスクリーニング基準の検討が報告書案に記載されています(8頁、12頁)。
制度改正に当たっての共通事項として、経過措置の適切な運用による予見可能性の確保や、事業の一連性の考え方の周知の重要性についても確認されています。今後、2026年前半に具体的な改正内容についての結論が示され、その後にこれに沿った環境影響評価法施行令の改正がされることが見込まれます。
系統用蓄電池の系統接続をめぐっては、事業実現性の乏しい接続検討申込みにより系統接続業務が遅滞している状況を踏まえ、経済産業省の審議会において、一事業者あたりの接続検討数に上限を設ける方向性が示されていました。
2026年4月16日に開催された次世代電力系統ワーキンググループ(以下「系統WG」)の第10回会合(こちら)では、当該上限設定措置の開始時期について、2026年8月1日付(予定)でOCCTOの関係規程類を改正し、同日より運用を開始することが報告されました。
経過措置として、7月31日時点で既に受付がなされている案件は従来どおり回答する一方、8月1日より前に申込みがなされたものの8月1日時点で受付がなされていない案件については上限数を適用することとされています。上限数を超過する未受付分については、一般送配電事業者から該当事業者に対して通知を行う運用とされています。なお、具体的な上限数については、現在各一般送配電事業者において算定中であり、完了次第、各社HPにおいて公開される予定です。参考として、2026年3月時点の試算結果では、東京エリア11件、関西エリア10件、北陸・九州エリア各8件、東北エリア6件、北海道・中部・中国・四国エリア各5件とされていますが、実際の上限数とは異なる可能性がある点に留意が必要です。
系統連系については、非FIT・非FIP電源についての土地権原取得書類提出の要件化や、系統用蓄電池についての系統連系保証金引上げ(工事費負担金概算額の5%から10%に)などといった、手続の厳格化が行われています。蓄電池の系統連系が引き続き見込まれる中、こうした制度改正にも十分に留意する必要があります。
弊所は、2026年4月にグローバル蓄電池レポート「Energy Storage Update 2026: Data Centers, Revenue Opportunities, OBBBA and Tariffs」を発行いたしました。本レポートは、10拠点の40名超の専門家が執筆し、データセンター向けBESSの活用、新たな収益機会、OBBBA及びFEOC、関税、バッテリートレード協定、許認可及び火災リスクについて包括的に取りまとめております。対象地域は、日本のほか、米国、EU、ドイツ、フランス、英国、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、タイ及びインドをカバーしております。蓄電池のデベロッパー、スポンサー、投資家、電力会社、データセンター事業者、機器メーカー、オフテイカー、ファイナンス関係者の皆様にご活用いただける内容です。
弊所東京オフィスでは、様々なバックグラウンドを持つ弁護士で構成されたエネルギーチームが、海外チームとも連携しつつ、再エネや蓄電池の分野で新たな挑戦をされる事業者の皆様をサポートしております。今後、事業者の皆様のお役に立てるイベントの開催も検討しております。