協同組合――デジタル・ネットワークのオーナーシップのモデル


January.17.2023

English: Cooperatives: An Ownership Model for Digital Networks
Chinese: 合作社:数字经济的新所有权模式

信用組合や地域公益事業体に用いられてきた法人形態は、ブロックチェーンの活性化とWeb3の描く新たなデジタル世界の実現に貢献し得るか。

ここ1年間の暗号資産とブロックチェーン市場の混乱は、一層の注目を集める問題に一筋の光を投げかける。その問題とは、Web3カンパニーは、デジタル・ネットワークにおけるオーナーシップの共有(トークンを通じてする場合を含む)をどのように行うのかというものである。

業界がこの問題に取り組む中、ビルダーや投資家は、複数の点において優位性を有する協同組合を、オーナーシップ形態の1つとして加えることを検討すべきである。既にこれを採用するWeb3プロジェクトは少数ながら存在するが、Web3の文脈においてこのモデルが広く理解されているとはいえない。

信用組合、地域公益事業体、保険会社、農業生産者は、しばしば協同組合として組織される。Web3においても、プロジェクトが、オーナーシップの形態として協同組合を活用することで、参加の拡大を実現しつつ規制上のリスクを低減させ、かつ、利用者に対して、デジタル・ネットワークに対する一層の支配(コントロール)の確立とその創造する価値のシェアを提供することができるかもしれない。

米国証券取引委員会(SEC)は協同組合持分の「証券」該当性を一貫して否定してきていることから、協同組合を用いれば、重要な保護を与えつつ、利用者に迅速かつ容易にオーナーシップを分配することが可能である。

我々は、より多くのビルダーや投資家が、既存のオーナーシップ形態への協同組合の組込みや協同組合を用いた新たなベンチャーの組成を検討するようになると考えている。ビルダーや投資家は、協同組合を通じて利用者にオーナーシップを付与することで、トークンだけで利用者とオーナーシップを共有するよりも良い投資収益を上げることも考え得る。というのも、協同組合では、参加の度合に応じて報酬が与えられるから、利用者に対し、デジタル・ネットワークに関与してこれを強固にすることについて、トークンよりも強いインセンティブを与える可能性があるからである。

協同組合は、あらゆるプロジェクトにとっての解決策ではないかもしれないが、既存のオーナーシップの形態では不十分な場合には有力な選択肢となり得るものであり、分散化と利用者による主導という広くWeb3に寄せられている大きな期待に応えるための有力な道筋となるものである。