Japan Renewable Alert 31: 過積載規制

Energy & Infrastructure Alert
July.18.2017

English: Overloading Regulations

従前より規制が懸念されていた「過積載」 の問題に関して、2017年7月6日、経済産業省・資源エネルギー庁は、関連法令の改正案を出しました。

改正案の内容としては、太陽光発電設備・事業が固定価格買取制度に基づいて一旦国に認定された後、事業者がパネルの枚数を積み増して太陽電池の合計出力を一定以上増加させた場合、増加した出力分だけではなく、全体について、太陽電池の合計出力が変わった時点での買取価格を適用するという非常に厳しいものとなっております。

改正案の概要は下記の通りです。

概 要:太陽電池の合計出力の変更を変更認定申請の対象とすることに変更

施行規則:軽微変更の範囲から太陽電池出力の変更を除外するよう変更

告 示:(2条7項)H29.4.1-H30.3.31までの10 kW以上2000 kW未満の太陽光発電設備「又はみなし認定事業者に係るもののうちその出力が2000 kW以上のもの」について太陽電池の合計出力の変更認定(他の価格改定事由に該当しない限り、20%未満の減少または3 kW未満若しくは3%未満の増加は除外)が価格改定事由に該当するよう変更

同改正の実施時期について、METIは明言していないものの、報道によると「(下記記載の)パブリックコメントの締切日である2017年8月4日の後、一定の取りまとめ期間を経て、遅くとも2017年9月までには実施の予定」とのことです。

同改正については、過去に認定を取得した後に過積載を行った事業者に遡及的に適用されることはない見込みであるものの、問題となりうるのは、旧制度下で取得している設備認定における太陽電池の合計出力を今後変更したい場合になります。

すなわち、その場合には、現状の新制度下では、まず当該変更前の合計出力を記載した事業計画の提出・確認を経た後、当該変更にかかる事前変更届出の提出・受理が必要となります。事業計画提出時に変更後の太陽電池の合計出力を記載することは出来ないというのがMETIの原則的な見解である点には留意が必要です。なお、METIによる事業計画の確認作業に現在長期を要していることは、2017年6月27日の Alert Letterで記載した通りです。

さらに、「事前変更届出」についても、METIの確認作業が完了しない限り「受理」とはならないところ、現在当該届出の確認作業にも1-2か月程度要しているとのことです。

以上に鑑みますと、旧制度下で取得している設備認定における太陽電池の合計出力を今後変更したい場合、太陽電池の合計出力の変更が完了する前に、上記改正が実施されてしまう可能性がございます。太陽電池の合計出力の変更については、旧制度下では軽微変更で行えたものの、制度移行に伴い同軽微変更届出が2017年1月21日以降行えない状況であったこと、また、新制度の下では、2016年度までに認定を受けた案件については事業計画を提出し新制度へ移行した後でなければ変更手続を行うことは出来ないとされているにも拘らず、事業計画を提出してもMETI確認作業に長期を要しており、実質的に変更が阻まれている状況下で、適切な猶予期間等が設定されることなく、上記改正が行われた場合、マーケットの混乱は不可避と思われます。実務に即した適切な対応が望まれます。

上記改正案については、2017年8月4日まで、下記のページでパブリックコメントの募集が行われております。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620117031&Mode=0